コックス・アーキテクチャー

オーストラリア、シドニー カテゴリー:ワークプレイス

ヘリテージとの調和

オーストラリアを拠点に活動するコックス・アーキテクチャーにより、シドニーのシンボルであるハーバーブリッジとオペラハウスを望む歴史的建造物「70ジョージ・ストリート」が機能的なスタジオへと生まれ変わりました。「70ジョージ・ストリート」は、サステナビリティとフレキシビリティ、可逆性、保全に焦点を置いたリノベーションプロジェクトです。

建物のリノベーションにあたり、コックス・アーキテクチャーはリダクション(削減)を重視したアプローチをとりました。オーストラリアの歴史的建造物に登録されている建物を覆っていた余分な“レイヤー”を一枚一枚取り除き、建物本来の個性を引き出していったのです。インテリア部門のディレクターを務めるブルック・ロイド氏は、まずはエゴを放棄し、自分たちの“証”を刻みたいという誘惑に抗って最小限のデザインに留めることの大切さを強調しました。その結果、キッチン以外はすべてが取り外せるフレキシブルな空間が完成しました。

この建物の5階は、ワークスペースの本来の目的ともいうべき機能性がもっともよく表現されている場所です。このフロアは、イベントや共同のダイニング、フレキシブルな作業スペースをはじめ、多目的なオープンスペースとして設計されました。そのフレキシビリティは、温かみのあるワークスペースと思い思いの方法で空間を活用してもらうことの重要性を強調しています。

生まれ変わったスタジオは、普通のワークスペースとは一味も二味も違います。そこはまさに、オーセンティックかつダイナミックな環境。機能と実験の境界が曖昧になる、斬新な試みでもあります。これについてロイド氏は「私たちは、自分自身で実験しているのです」と解説し、このスタジオがチームの進化するニーズに対応できる場であると語りました。

こうしたストーリーとともに、フリッツ・ハンセンのセブンチェアとグランプリチェアがコックス・アーキテクチャーのデザイン哲学と見事に融合しています。時代を超えたエレガンスと人間工学に基づいたデザイン、カーボンフットプリントの低さなどが特長のこれらのプロダクトが、機能性と適応性を追求するスタジオのアプローチをサポートしています。デスクの前に置かれた柔らかなファブリックのモデルであれ、共同ダイニングのテーブルを囲むナチュラルウッドのモデルであれ、そのオーガニックなシルエットと耐久性、さまざまなシーンで活躍する美しさが周りに溶け込み、歴史的建造物の魅力を損なうことなく、モダンなタッチを添えています。

コックス・アーキテクチャーのチームが理想の生活空間を模索するなか、フリッツ・ハンセンを象徴するプロダクトはスタジオに欠かせない存在となり、機能的でフレキシブル、そしてオーセンティックなワークスペースを目指す彼らのビジョンと重なります。