APペンション本社

ノーハウン、デンマーク


帰属意識を高めてくれるデザイン

コペンハーゲンのノーハウン地区に誕生したAPペンションの新社屋は、単なるワークプレイスではありません。それはコミュニティという価値観と先進的なデザインによって形づくられたパブリックな空間なのです。コペンハーゲンを拠点とする建築事務所PLH Arkitekterが設計と内装デザインを手がけたこの空間は、パーパスとインクルージョンという共通のビジョンに裏打ちされています。

「帰属意識を高めてくれるような場所——人と違うことが“強み”となるようなワークプレイスを目指しました」と、このプロジェクトのデザインチームは語ります。そうしたオープンな感覚はここで働く人たちにとどまらず、地域コミュニティにも浸透しています。共用キッチンや誰もがアクセスできるルーフトップテラス、クライアントとの打ち合わせはもちろん、集会やプライベートでも利用できるミーティングルームなど、この地域で暮らす人たちを温かく迎え入れる設備が充実しています。

新社屋の内装には、1世紀にわたる歴史と未来を見据える明確なビジョンという、APペンションのDNAが投影されています。建築とアートが融合したエリアを彩るのは、アーティストの作品の色調とのバランスを考えてセレクトされた家具。空間全体の統一感を演出し、同社で働く人たちが共有しているアイデンティティのナラティブを表現しています。

フリッツ・ハンセンの家具は新社屋の中心的なエリア全体に配され、訪れる人の目を引きます。ラウンジと講堂に並ぶのは、ウォルナット色のレザーをまとったフルパディングのセブンチェア。レザーという素材ならではの誠実さと長く楽しめる快適な座り心地、そしてつつましやかなエレガンスが決め手となり、採用が決まりました。アトリウムに目を向けると、ぬくもりを感じさせるチェスナット色のレザーをまとったスワンチェアとエッグチェアの柔らかい曲線が人々を迎え入れ、自然光に満ちた空間での会話のひとときへと誘います。

「フリッツ・ハンセンの家具は、社会的責任とコミュニティへの貢献という私たちのビジョンを支えてくれるものです」とデザインチームは語ります。「私たちのねらいは、長く使える上質なプロダクトに敬意を払いながら、未来に目を向けた環境を創出することでした」

新社屋のハイライトは、賑やかな建物の真ん中に静かに佇む壮麗なアトリウム。光と音とアートがデザインとシームレスに響き合い、シリアスでありながらも優しさを感じさせる雰囲気を醸成しています。仕事だけでなく、人々が集まり、積極的に参加したくなるような思いやりに満ちた場所——APペンションの新社屋には、現代のワークプレイスの可能性が映し出されています。