DFDSにおけるサステナビリティ
デンマークを拠点とするDFDSは、1866年創業の世界的な海運会社です。本社ビルのリノベーション計画が持ち上がると、サステナビリティと人間主体のデザインに焦点が置かれました。リノベーションの目的は、いまの時代の人々の好みをデザインに反映させることで仕事環境を活性化し、事業活動の成長と環境への配慮が両立可能であることを証明することでした。
本社ビルの設計は、サステナビリティに関する世界的なベンチマークとして知られる「持続可能な建築のためのドイツ協会(DGNB)」の金の建築品質保証マークに基づいて行われました。生まれ変わった本社ビルは、職場の居心地の良さという従来の概念を覆すと同時に、社員や未来の才能を惹きつけています。
リノベーションにあたり、同社はサステナビリティというコンセプトを最優先しました。環境に優しいことに加えて、ひとりひとりの社員が世界をより良くするための前向きな変化の一員であると実感できることは、社員にインスピレーションを与えてくれると考えたのです。
画期的な取り組みのひとつとして、同社は200脚以上ものセブンチェアを新しい本社ビルで使用することにしました。これらのセブンチェアは、リノベーション前の本社ビルにおいて少なくとも10年は使用されてきたものです。優れた強度と時代が変わっても色褪せないデザイン、そして耐久性が魅力のセブンチェアを再利用することで、新しい環境に身を置く社員たちは継続の感覚を抱きながら仕事ができます。
人間主体のデザイン
本社ビル全体からは、一貫したデザインコンセプトが明確に感じられます。長い廊下は建物の曲線に沿ってなだらかなカーブを描き、数メートル先に停泊している同社の船舶を想起させます。床から天井まである大きな窓から船舶という同社の社会貢献のかたちを目の当たりにすることで、社員との間に力強い絆が生まれます。エリアごとの名前も、社員と海の世界とのつながりを強めています。というのも、オフィスが並ぶフロアは、船舶の甲板になぞらえて「デッキ」と呼ばれているのです。
建物全体に張り巡らされたアコースティックパネルが雑音を和らげてくれるおかげで、ここで働く400人の社員は集中して作業ができます。建物の最大収容人数は550人。今後社員が増えても、十分に対応できる広さです。
「人々の働き方は多様化しています」と話すのは、同社の施設管理の責任者と安全衛生グローバルディレクターを兼務するSteffen Conradsen。「多様化する人々のニーズに対応するため、私たちは多種多様なワークスペースやゾーンを設計しました。そうすることでひとりひとりが自分に合ったものを選ぶことができます。結果として、生産性を高めるために必要な環境が整うのです」
本社ビルのリノベーションにあたり、同社は美しさと機能性を兼ね揃えた、温かみあふれる空間を創出しました。それは、社員が誇りに思うと同時に、働き方にかかわらず、誰もが生産性を高められるオフィスです。