2022年にライファイゼンバンク・オルデンブルク(Raiffeisenbank Oldenburg)とフォルクスバンク・オルデンブルク(Volksbank Oldenburg)が合併して誕生した「オルデンブルク・フォルクスバンク」。合併後、同行はオルデンブルクの中心部に本社を移転しました。それは、同行の文化と哲学との調和を奏でる新しいインテリアコンセプトを創出するためのチャンスでもあったのです。
オルデンブルク東部レファーセックの歩行者ゾーンにある、街の文化遺産にも登録されている1908年築の建物から中間の建物を経て、シュタウリニー地区でも数少ない高層ビル群の一角をなすこのフラグメント建築の複合ビルは、改造とリノベーションを繰り返した長い歴史を誇ります。本社移転プロジェクトを手がけた建築家とインテリアデザイナーには、温かみを感じさせると同時に、新しい時代に合った一貫性のある空間——それも同行の全部門の社員を収容できるだけでなく、リモートワークとオンラインバンキングの時代の顧客のニーズにも応えられる空間を創る、という課題が課せられました。
近代的な建物の構造と安全要件に沿ったリノベーション方法に関する最初のディスカッションの後、すべてを作り直すとしたら、透明性と責任のある正しい方法で行うだけでなく、共同組合銀行である同行の理念の中心的な価値観を全体に落とし込まなければならないという結論に至りました。
当初は、複合ビルを完全に取り壊して新しいものを建て直すという案が検討されていましたが、新型コロナウイルスのパンデミックが拡大する中でこの計画を疑問視する声があがりました。しかし、計画そのものを中断したり、ゼロから計画を立て直す代わりに、既存の複合ビル全体をモダンにアップグレードすることになったのです。
かつてはコンテンポラリーでありながらも独創性に欠け、仰々しい印象を与えていたオルデンブルク・フォルクスバンクでしたが、いまではコンクリートとレンガの壁の無機質な印象を和らげる自然素材によって温かみのある建物へと生まれ変わりました。建物の中に足を踏み入れると、天窓から自然光がたっぷりと降り注ぎ、複数のフロアと部門のそこここにフレキシブルな家具が置かれ、生き生きとした空間を演出しています。
オフィスのリノベーションは、デジタル化が進むこの時代においてフレキシブルなワークスペースのニーズが高まっていることを証明しています。ミーティングエリアや静かに作業するためのエリアを備えた開放的なオフィスに置かれているのは、アルネ・ヤコブセンがフリッツ・ハンセンのためにデザインしたセブンチェア。ワークスペースや打ち合わせの空間をフォーマルかつカジュアルにしつらえています。アートワークや家具の鮮やかな色彩と柔らかな質感に彩られたリラックス感あふれるインテリアは、同行のフラットな構造と、社員と顧客のウェルビーイングへのコミットメントを象徴しています。
もとはロビーだった場所には、「マーケットプレイス」という空間が誕生。誰もが自由にアクセスできるカラフルでフレンドリーな多機能ミーティングエリアには、商談や取引を行うのに最適な距離感を備えたスペースも用意されています。街全体が環境に優しい交通手段にシフトしたのを機に、屋内駐輪場と社員が着替えるためのスペースも新たに設けられました。
フォルクスバンク・オルデンブルクの新しいオフィスの至るところにトラディショナルなカラードアッシュ(ライトベージュ:135)のセブンチェアと、クヴァドラ社のRemix(753)をまとったコンテンポラリーなフロントパディング仕様のセブンチェアが並べられ、建物全体が表現する「古いものから新しいもの」へのシフトをシームレスに表現しています。「何十年も昔の建物がいまでもあり続ける意味と機能性を保っていることを伝えたかったのです。セブンチェアは、それを見事に表現しています。気取った感じはないのに上質な点は、私たちのコンセプトにぴったりでした。誰もが心地よく座れる椅子です。フレキシブルなので、ミーティングやコワーキングスペースなどで自由自在に組み合わせて使うこともできます。まさにデザイン史を象徴するプロダクトであり、発表された当初からその素晴らしさは変わっていません。フォルクスバンク・オルデンブルクと同じくらい信頼できる存在です」とフォルカー・ドロステ博士は語りました。