「真に現代的であるためには、常に過去と未来に目を向けていなければなりません」
ミラノの著名な建築家の家に生まれたイタリア人デザイナー、ヴィコ・マジスレッティは「悪いデザインに言い訳はない」という自身の哲学を貫きました。イタリアデザインの基盤を築いたひとりとされる彼は、洗練されたハイコンセプトな家具から精巧な建築ファサードに至るまで、実験的でありながら驚くほど調和の取れた作品で広く称賛されました。
主に建築、工業デザイン、都市計画の分野の仕事を手がけたマジストレッティ。彼の生涯にわたる作品作りへの強い情熱は、愛する故郷ミラノでの修学時に生まれたものです。
第二次世界大戦中、マジストレッティは軍事的な国外追放を免れるためにスイスへと逃れます。そこで彼は、マエストロであり彼の師であるヒューマニズムの建築家として有名なエルネスト・ネイサン・ロジャースに出会いました。
1960年代、マジストレッティはアルテミデやオルーチェといった世界の主要メーカーとのコラボレーションを開始しました。彼がデザインした家具やオブジェは現在もクラシックアイテムと考えられています。
今日、受賞歴を誇る彼の作品は世界中のギャラリーや美術館、住宅で目にすることができます。作品一つ一つが、コンテンポラリーデザインの本質主義とシンプルさを融合させる彼の優れた能力を示しています。