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アルネ・ヤコブセンが緻密な計算にもとづいて設計したコペンハーゲンのSASロイヤルホテル（現ラディソン・コレクション・ロイヤル・ホテル）のロビーには、一際目を引くデザイン要素がありました——ヤコブセンが制作したエッグチェアです。それは幾何学的な精緻さを特徴とする建物とは対照的なデザイン要素として、人々から歓迎されました。人間の体験に対してかつてないほど関心を持っていたヤコブセンは、エッグチェアを単なる椅子以上のプロダクトとしてデザインしました。それは空間のなかに空間を創るという、ヤコブセンならではのアプローチでもありました。エッグチェアの有機的なシルエットは、インターナショナル・スタイルのシャープで直線的な表情を和らげ、人々で賑わう構造化された空間の真ん中に静かな「サンクチュアリ」を創出したのです。 エッグチェアが体現するフォルムと機能性のみごとな調和は、SASロイヤルホテルにとどまらず、今日でも世界中の人々を魅了しています。タイムレスな魅力を放つエッグチェアは、あらゆるインテリアとも好相性。公共の場でもプライベートな空間でも、その象徴的なシルエットは人に寄り添う親密な時間を生み出し続けています。優れたデザインとは美しさにとどまらず、私たちの感情や心地よさを形づくるものなのです。