「セネッズ」 - ウェールズ議会新議事堂
英国政府による地方分権政策の一環として住民投票が行われ、1999年にウェールズ議会が設立。ウェールズ人は予算編成に関する議決権に加え、教育、社会福祉やウェールズ語の普及といった一定の範囲内での政策立案などの政治的権限も得ました。 1998年、リチャード・ロジャースパートナーシップが会議場や公共施設などを備える議事堂「セネッズ」の設計担当として選ばれました。建設途中、政治的問題や建築面での様々な困難に直面し、建設を遅延しなければならない状況に度々追い込まれながらも、2006年2月7日に完成の日を迎えました。「セネッズ」はウェールズ議会議員だけでなく、広く一般にも解放されています。
空と水とウェールズでのすべての政策決定の中心となるこの議事堂。その建築デザインのコンセプトとして、この建物がそびえるカーディフ湾の二大要素、「空」と「水」が取り入れられました。波打つ屋根、そして水辺から立ち上がるかのような水平のフロアーがこの二つの要素を表し、高さと量感の異なるテラスが連なり地面と屋根とを結び付けています。結果として、官庁の建物に多く見られる隔壁を排除した、政治関係者にとっても、また一般市民にとってもオープンで、見通しの良い建物ができました。
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建物内部
建物の上階2フロアは一般市民のためのスペースで、ここからは階下で働く議員や公務員たちを目にすることができます。選挙で選ぶ側が選ばれる側よりも上に立つ、一般市民が特権的な位置にある、という建築家のデザインコンセプトの表れです。クライアントからの要望は、「この議事堂は、その形においても、そこで行われる議事においても、いかなるマイナスイメージも世界に与えてはならない・・・この議事堂は、ウェールズという名前が登場するところでは、世界のどこででもウェールズのシンボルにふさわしい、全世界で認められ、尊敬を集めるべき存在となるべきである」というものでした。 議事堂の中心にある会議場の壁は、外部から中が見えるガラス張りで、その形状は屋根から大地へと波打つ煙突のようで、彫刻美を誇ります。スレート製のテラスは硬く直線的で、オフィスや会議室、展示室やカフェといった他の施設が打ち放しのコンクリートで無機的であるのに対し、会議場の有機的な形状が見事な対比をなしています。 「オープンと参加」という民主主義の理念を体現しようというのが、この議事堂のコンセプトです。リチャード・ロジャースは自身の理想を次の様に述べています。「この議事堂を訪れる子供が感銘を受け、自分も将来ここで議員になりたいと願うような、そんな議事堂にしたいのです」
栄誉ある賞
ここの議事堂のデザインは、建築界から高い評価を受けると同時に、BREEAMという建築の環境評価団体からの優秀賞にも輝きました。地元の建築資材を活用しエネルギー消費を最小限に抑えた建築であり、持続可能な建築物であるというのが授賞理由です。 「この建築デザインは革新的で、まさに芸術の域に達している。それが内部のデザインにも現れ、最新技術を最大限に活用して、現代的であるとともに利用者にとって親しみやすいインテリアを実現している」 細部に至るこだわりと、高度な水準の構造、これらの点からもこの議事堂の建築としての質の高さは明らかです。また、高水準のデザインだけでなく、建物全体に優れた耐久性の資材を使用している点も賞賛に値します。資材としては、議員用のデスクや公共部分の椅子には、ウェールズに育つウェールズオーク材を、フロアとメイン階段には、ウェールズ産のスレートを使用。さらに、後置きの家具や壁パネルには硬いヨーロッパオーク材、手すりにはステンレスを使用、ガラスには鉄の含有率の低いものを使用することで自然光を建築内部の下層にまで行き届かせるといった配慮がなされています。 /interior.jpg)
家具
このプロジェクトを担当したリチャード・ロジャースパートナーシップの建築家、ジョン・ロウはこう語っています。「この議事堂で使用する後置きの家具には、この議事堂のデザインコンセプトに合ったものを選びたかったのです。優れた品質、優れた耐久性、そして何よりも代価に見合う価値のあるものを。これらの理由からも、有機的なフォルムをもつ“スワンチェア”の選択は当然のことなのですが、英国はオックスフォードのセント・キャサリンズ・カレッジの“スワンチェア”を目にしたことが、その選択を更に決定づけました。このカレッジでは最初に配置された“スワンチェア”が今もまだ立派に役目を果たしているのです。また“セブンチェア”もシンプルで有機的なフォルムですし、“オックスフォード”シリーズも大変心地よく、シンプルでエレガント。会議場のチェアとして理想的です」
2006年3月1日、英国のエリザベス女王により特別式典が執り行われ、この議事堂は正式なオープンを迎えました。 この議事堂建設プロジェクトに関する詳しい情報は、次の各ウェブサイトをご覧ください。
www.richardrogers.co.uk
www.wales.gov.uk/assemblybuilding
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